レッスンを受けている子本人のやりたいという曲を積極的に取り入れることについては、いろいろと迷いがありました。
その一つが、クラシック曲から離れてしまうな・・ということ。
クラシック曲を弾かなくてピアノのレッスンと言えるんだろうか・・というもやもやがなかなか消えませんでした。
「やりたい曲」を取り入れるとクラシック曲を弾かなくなる
ピアノのレッスンは、クラシック曲を弾きながら進んでいくのが一般的です。
テキストも、初心者向けに作られたクラシック曲で作られています。そして、クラシックの名曲といわれるピアノ曲を弾けるようにしていきます。
少なくとも、私がレッスンを受けていた40年ほど前はそのような形でした。
今は、多少クラシック以外のジャンルの曲を含んだレッスン用曲集がありますが、それでも昔とさほど変わりはないのではないでしょうか。
クラシック曲ばかりを真面目に取り組んできた私は、
「ピアノのレッスン=クラシック曲を弾けるようにしていくこと」
「ピアノを弾ける=クラシック曲を弾ける」
という構図が、しっかりと染みついてしまっていたようです。
クラシックではない曲を取り入れるのは、ピアノのレッスンといえるんだろうか・・
そんな引っ掛かりが、いつもありました。
でも、レッスンに来る子どもたちが本当にやりたいと思う曲は、クラシック曲ではないことがほとんどですよね。
テレビから流れてくる今はやりの曲、好きなアニメの曲、親御さんがお好きでお家でいつも流れている歌謡曲、学校でやる合唱曲・・・
毎日耳に入ってくるような、耳なじんだすぐ身近にある曲です。
やりたいという気持ちはわかるし、それを大事にしたい。でも、なんだかすっきりしないもやもやをずっと感じていました。
もっとクラシック曲を知ってほしい
今では、もやもやした気持ちはすっかりなくなりました。
一番大事にしたいのは主体的にピアノに向かうこと。そのために、クラシック曲にこだわらず本人のやりたい曲をやる。
その考えですっきりとしています。
でも、もやもやが消えるまで、少し時間がかかったなと思います。
自分はクラシック一辺倒でレッスンを受けてきて、好きな曲もたくさんありますし。
そして何より、クラシック音楽は、今よく聴かれている音楽の源流ですし。
クラシック曲がなかなか弾かれなくなっていまう、ということは、やはりとても残念です。
ということで、私がやっているのは、クラシック曲を紹介すること。
特にやりたい曲がない、というような子には、クラシック曲をいくつか紹介して選んでもらう。
発表会の曲を決めるとき、やりたいという曲があっても、私からのおすすめということで数曲紹介し、それも含めた中から選んでもらう。
自分が演奏するときには、クラシック曲を弾く。
そんなことを、こだわってやっています。
そうすると、時々ですが、やりたいという曲があったのに私が紹介したクラシック曲が選ばれる、ということも起こります。
クラシック曲が「やりたい曲」にならないのは、知らないからというのも大きいと思います。
クラシック曲を知ってもらうということを、積極的にしていきたいなと思っています。