「音楽室ゆう」は、設立当初からピアノレッスンと音楽療法の2本柱で運営をしています。
数は少ないながら、障碍のあるお子さんへの音楽療法や音楽療法的な活動を含めたピアノレッスンを、継続的に行ってきました。
ここ1年ほど、音楽療法についてのお問い合わせが増えてきていますので、ここで改めて具体的なことについてまとめてみようと思います。
そもそも「音楽療法」とは?
私は「日本音楽療法学会」に所属し、そこが行う試験に合格して音楽療法を行っている、「学会認定音楽療法士」です。
その「日本音楽療法学会」による音楽療法の定義はこちら⇩です。
音楽療法とは
音楽のもつ生理的、心理的、社会的働きを用いて、心身の障害の回復、機能の維持改善、生活の質の向上、行動の変容などに向けて、音楽を意図的、計画的に使用すること。
つまり、「明確な目標を設定し、音楽を使ってその目標を達成させる」ということです。
まず初めに、何のための音楽活動なのか、をはっきりとさせることが必要です。明確な目標のない音楽活動は、音楽療法ではありません。
音楽療法の「目標」って?
じゃあ、音楽療法の「目標」ってどんなもの?
というのが、次に出てくる疑問かもしれません。
具体的には、以下⇩のようなものです。(発達障害や知的障害のある児童に対する個別音楽療法の例)
- 集中力や注意力の向上
- 気持ちの発散を促す
- 自己への意識や自尊感情の向上
- 他者への意識の向上
- 学習スキルの習得
- 発語を促す
- 情緒の安定
- コミュニケーション力の向上
などなどなど・・・
これらは、自分がこれまで行った内容や、学会での実践報告などから、ざっくりとまとめた音楽療法の「目標」です。
実際には、一人一人の状況を細かく観察し、分析し、さらに細かい目標設定をし、定期的に見直し、必要であれば目標設定をし直し・・・
といったことを行い、それぞれの音楽療法に対して、それぞれ違う完全な個別の内容で行っていくことになります。
なので、実際は、上記したような一言でまとめられるものではなく、長期目標、短期目標を定め、細かく内容を検討していくことになります。
実際に何をやるの?
具体的には何をやるのかというと・・
音楽に関係することなら何でもやります。
楽器を鳴らす、歌を歌う、踊る、音楽を聴く・・・なんでも!です。
ただし、設定した目標に合ったものであることが大前提です。
どんな楽器をどんなふうに使うのか、どんな歌をどう歌ってもらうのか、など、設定した目標と照らし合わせて、音楽の使い方を吟味します。
楽器一つをとっても、形や色、音色、鳴らし方、どんな場面でどう使うのか、などを細かく検討します。
そして、最も大事にするのは、本人が好む活動なのか、ということ。
目標に沿っている音楽活動であっても、本人があまり好きではない曲や楽器などのものではやりたいと思いませんよね。
自ら積極的にかかわってもらうことは、目標達成に大きく関係します。なので、本人が好む音楽活動であることをとても重視します。
ご家族との連携が大切です
音楽療法を行うには、その本人についての細かな情報が必要です。
診断がされている場合はその内容、家庭や学校での様子、できることできないこと、好きなこと嫌いなこと・・・
そして、好きな楽器、好きな音楽、好きな音など、音楽に関する情報は重要です。
様々なことを教えていただいて、内容を組み立てていくことになります。
また、当日のプログラムについても、必要であれば事前にお伝えし、ご意見やご希望をうかがうことも行います。
私一人の判断で行うのではなく、いろいろとお知らせいただきながら進めていくことになります。
「気になること」があれば音楽療法をご検討ください
「音楽が好きなようだけれど障害がある」
「レッスンは難しいかもしれないけれど、音楽が好きなようなので、何か音楽に関することをさせたい」
お子さんのことで、そんなお気持ちがある時にはご相談ください。
お子さんに合った完全個別のプログラムを立てて、行っていきます。
状況によっては、ピアノのレッスンと組み合わせることもできます。
また、障碍があると認定されていなければ音楽療法を行うことができない、ということではありません。
お子さんの”気になること”に、音楽でアプローチしていくのが音楽療法です。
体験レッスンでは、さらに詳しく実際の事例をお話しさせていただいています。
気軽にお問い合わせください。
参考サイト→日本音楽療法学会の公式サイトはこちらです。