ピアノを弾けるようになるには日々の練習がつきもの。
でも、なかなかしない、ということは多いですね。
しない子の中には、「しなくても弾ける」と思っている子もいます。
実際、レッスンに来て初めて弾いた(らしい)曲を、数回その場で弾いただけでスラスラ弾けてしまうことがあるんですね。
そんな経験をすると、「練習しなくても弾ける」と思ってしまいます。
でもそれ、「弾ける」とは言わないです!
弾けるようになってきて・・・弾けなくなる
先日こんなことがありました。
ある曲を、「両手で、止まらず、その曲らしいスピードで弾く」ことができれば終了、ということでレッスンが始まったこの子。
先回からこのことは伝えてあって、「練習してくる!」と言っていたのに、どうもしていない・・・
当然、その場で練習することになります。
やるべきことはわかっているし、口を出されることも好まないタイプの子なので、「最後に聴かせてね」と15分ほど自主練習。
そばで見守っていましたが、それはそれはとても集中して何度も弾いていました。このがんばりはスゴイな、と感心するくらい。
そのがんばりの通り、だいぶスムーズに弾けるようになってきましたが・・・だんだん、あれ?なんだか元通り・・?
そして、時間になり「そろそろ弾いてもらおうかな」。
本人も、「よし!」と張り切って弾き始めましたが・・弾けない。
止まってもすぐ弾き直せるのならOKと思っていましたが、何度も止まり、すぐには弾きなおせないような状態。
あんなにスムーズに弾けるようになっていたのに・・残念。
この子自身、とても悔しかったようで大泣きしてしまいました。
見せかけの「弾ける」だから
どうしてこんなことになったのか・・。
それは、その時だけの見せかけの「弾ける」だったからですね。
確かに、とても集中して何度も弾いて、スムーズに弾けるようになりました。
でも、集中が切れてきてしまったらそこまで。一気に弾けなくなります。
ピアノを本当の意味で「弾ける」というのは、指が自然に動いてくれるということ。「集中!」と気合を入れなくてもいいんです。
ピアノの演奏で集中すべきは、指を動かすことではなく「表現」すること。
指を動かすことそのものに集中が必要なら、それは、まだ弾けていない、ということです。
ピアノを弾く行為自体は「長期記憶」なので、特別な集中が必要なことではないんですね。
参考記事→姉妹サイトに書いたピアノの練習と記憶との関係に関する記事です。
ちょっとずつ毎日、が大事
今回紹介した子は、実はまだレッスンを始めて半年ちょっと。今まさに、ピアノを弾くということを長期記憶化している最中なんですね。
指1本1本をバラバラに動かす、ということを一生懸命身につけているところです。
長期記憶化していくためには、そのことを忘れないうちに何度も何度も繰り返し行うこと。
「忘れないうちに」が大事で、そのため、毎日練習が必要になるわけです。
たくさんの時間をかけなくてもいいんです。毎日数回弾く、ということで十分です。
確実に弾けるようになるためには、どうしても必要なことなんですね。
この子にも、
「ピアノは、今だけでなんとかしようと思っても、できるようにはならないんだよね。毎日弾く、が大事なんだよ。」
と話しました。
悔しい思いをした分、そのことをしっかりと考えてもらえればな、と思います。
⇩後日談はこちらです。